相続が発生し財産の処分をするために2つの手順があります。
それは「遺言があるケース」と「遺言がないケース」です。
遺言あり
遺言書がある場合には遺言書に基づいて相続税申告・財産の処分をします。遺言書により被相続人の意思が尊重され、被相続人の遺した遺言に基づいて財産の処分をしていきます。
遺言書(自筆遺言・秘密遺言)は家庭裁判所で“検認”をうける必要がありますので、遺言書を発見した相続人・保管をしている相続人は、偽造・変造を防止するため遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出(未開封のものは未開封のまま)し、「検認」を受けなければなりません。
また遺言があるからといって必ず遺言書通りに財産の処分をする必要はなく遺言を撤回し遺産分割(下記参照)を行うことも認められています。
遺言なし(遺産分割)
被相続人が遺言を残さず死亡した場合には、被相続人の財産・債務はすべての相続人で共有して承継されることになります。このような共有状態を解消するために個々の財産・債務を相続人間で分け合う手続きが必要となります。その手続きを“遺産分割”といい、その遺産分割で作成される契約書を“遺産分割協議書”と呼びます。
ではどのように財産を分割することになるのかというと、相続人間で合意がとれれば自由に財産の分割をすることができます。法定相続分で分割しても、相続人のどなたか一人が代表して財産を全部取得しても相続人間で合意がとれればどのように財産の分割をしても自由です。
遺産分割はできる限り相続税の申告期限までに行うことをお勧めします。遺産分割が整っていない状態を未分割といい、未分割の状態で相続税法上の特例(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の減額)を受けることができず申告期限までに一時的に多額の税額を納めなければならないという恐れがあります。あくまでも一時的な取扱なので遺産分割確定後、更正の請求し納めた税金の還付申請をします。
相続の対象財産
相続財産とは、被相続人が遺した権利・義務(資産・負債)のすべてをいいます。
| 権利(資産) | 義務(負債) |
|---|---|
|
|
※ 一身専属の権利義務は相続の対象とはなりません。
※ 相続財産には含まれないが、相続税の課税対象となるもの。
生命保険金・死亡退職金等
※ 相続財産にも相続税の課税対象にもならない財産
未支給年金・・・・相続人固有の財産
相続の放棄
相続によっては、相続人は被相続人の財産のみならず債務まで承継してしまうため、場合によっては相続人に不利益をもたらすことがあります。そのため、相続人は自らの意思で相続人としての権利と義務を放棄することが認められています。
相続放棄は相続があったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に申術をしなければなりません。よって相続が発生した場合にはできるかぎり早期に財産と把握し相続放棄するか否かの判断をする必要があります。
限定承認
財産より債務の方が多い場合には、相続放棄という方法もあれば限定承認という方法もあります。相続の放棄は相続人の権利すべてを放棄しますが、限定承認は取得した財産の範囲内で債務を引き継ぐという方法です。
具体的には、
・現金が1億円あるが、債務がどのくらいあるかわからない。
・債務が多額にあるが、先祖代々から引き継いだ自宅だけはどうしても守りたい。
など債務が財産より多い・借金がどのくらいあるかわかならい。などという場合に適用できる制度です。
しかし税務上留意点があり、限定承認があると、相続開始の日に被相続人から相続人に相続財産が時価で譲渡したものとみなされます。つまり被相続人に対して譲渡所得課税が行われることにより納税が生じることになります。もちろんこの納税分も被相続人の債務なので、他の債務と同様に限定承認の効果が生じ、財産<債務となった場合には納税する必要がなくなります。
遺留分
遺留分とは相続人(兄弟姉妹を除く、配偶者・子・直系尊属)に認められた最低限の権利です。被相続人は贈与・遺言により自分の財産を自由に処分することができますが、相続人には自分自身の生活保障及び家族財産の公平な分配のために必要最低限の相続財産を取得する権利(遺留分)が法律で保障されています。
遺産分割のやり直し
一度成立した遺産分割をその後の事情により相続人の合意のもとにやり直しをすることは法律上問題ありません。
しかし税務上は問題が発生します。やり直しをした場合には相続人から相続人に対する贈与とされ多額の納税を強いられることとなります。
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